この記事ではAGCが注力している研究活動についてまとめています。
基本情報
何をしている会社?
AGC(旧称:旭硝子株式会社)は、日本に本拠を置く大手総合ガラスメーカー
ガラス、化学、電子材料などの分野で幅広い事業を展開
AGCの主な事業領域は「ガラス」「電子材料」「化学品」「ライフサイエンス」の4つ
- ガラス
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建築用加工ガラス:
断熱・遮熱、結露、反射防止など環境負荷低減や快適性向上を追求した機能ガラス製品群
オートモーティブ:
合わせガラスや強化ガラスなど自動車用ガラス(世界トップレベルのシェアを有する)
- 電子材料
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ディスプレイ:
TFT液晶/有機EL用ガラス基板(世界トップクラスのシェアを有する)
電子部材:
半導体・MEMSプロセス部材関連、光学部材、光学薄膜、ポリカーボネート等
MEMSとは?MEMS(メムス)=Micro Electro Mechanical Systems(微小な電気機械システム)
半導体のシリコン基板・ガラス基板・有機材料などに、機械要素部品のセンサ・アクチュエータ・電子回路などをひとまとめにしたミクロンレベル構造を持つデバイスのこと
- 化学品
-
エッセンシャルケミカルズ:
苛性ソーダやPVC(塩化ビニル樹脂)、ウレタン関連製品
パフォーマンスケミカルズ:
フッ素樹脂フィルム、フッ素ゴム、塗料用フッ素樹脂、フッ素系ガス・溶剤
- ライフサイエンス
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バイオ医薬品原料を含む農薬原体・医薬品原薬および中間体の受注製造、高機能フッ素化合物
売上、業績、年収情報
- 売上高 2兆359億円
- 営業利益 1839億円
- 営業利益率 9.03%
- 自己資本比率 55.1%
- 平均年収 825.9万円
- 平均年齢 43.3歳
- 平均勤続年数 17.6年
2022年度は原燃料および電力価格の上昇により減益も、高い利益率を維持。
自己資本比率も高く、財務が安定している様子
求める人材像
AGCの採用ページには求める人物像として
情熱
当事者意識を持ち、情熱と覚悟を持って取り組むことができる人財
チャレンジ
壁にぶつかっても諦めずに最後までやり遂げる人財
革新
枠にとらわれず自ら変化を起こすことができる人財
インテグリティ
他者から学び、誠実な行動により、信頼してもらえる人財
巻き込む力
主体性を持って周りを巻き込んでいける人財
https://www.agc.com/recruiting/information/
また、人事部採用チームリーダーは
AGCを志す皆さんにも、与えられたチャンスに熱量を込めて挑んでいくことを期待しています。
熱い想いを持って取り組むことが“やりがい”につながり、それが自身の“成長”につながっていく。
https://www.agc.com/recruiting/information/
と述べられています。
若いうちから一人ひとりが責任ある仕事を担うため、自ら考え、意見・行動し、挑戦できる人を求めているようです。
『主体性』『チャレンジ』『熱意』がキーワード
研究・開発内容
有価証券報告書を参考に2022年度で進捗した研究・開発内容をまとめました。
ガラス(研究開発費97億円)
建材用ガラスや自動車用ガラスの新技術開発、製品設計、生産技術開発を実施
具体的な研究内容は明記なし
環境に配慮したガラス溶解プロセスに関する技術開発を実施
電子(研究開発費106億円)
全ての薄型ディスプレイ商品に対応する表示デバイス用ガラスを提供
ガラス溶解・成形・研磨・検査などの生産技術開発に注力
その他にも多岐にわたる研究開発テーマがあり、
主に半導体製造装置用部材、ディスプレイ関連部材、光電子部材等に関する新商品・新技術・生産技術の開発を実施
化学品(研究開発費102億円)
フッ素化学、高分子化学、無機化学、電気化学などの基盤技術を生かした新商品・新技術の開発を実施。
特に、環境に配慮した製品やプロセスの開発に注力
医農薬中間体・原体やバイオ分野の開発も進めている
コーポレート(研究開発費191億円)
AGCが保有する技術プラットフォームの強化拡大を目指した長期的・基礎的な研究開発
新規事業の創出を目指した研究開発を行っているが、具体的な実施内容は明記なし
この辺の情報が一番知りたいのですが、、、
また調べてみてわかったら情報共有しますね!
全社的な研究開発体制の構築(DXやMI活用など)もコーポレートが策定・調整している
コーポレートが担当しているテーマは、高度な解析技術などの共通基盤技術の開発、既存事業及び新事業に資する材料技術の開発等がある
分析技術の開発と既存製品の改良かと思います。
こちらもより詳しい情報がわかり次第、共有しますね!
今後の研究方針
AGCは2021年の中期計画にて今後の研究開発体制について下記のように設定しています。
- ①生産・基盤技術革新
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コア事業(建築用・自動車用・ディスプレイ用ガラス、化成品(エッセンシャル、パフォーマンス)、セラミックス)にて生産技術、基盤技術の技術革新を進める
- ②次世代・新製品開発
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ガラス、化成品(エッセンシャル、パフォーマンス)、セラミックス領域で次世代新製品の開発
- ③新規事業創出
-
戦略3事業(モビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンス)、環境、エネルギーを柱に新規事業の創出を目指す
ここでは戦略3事業について細かく見ていきます
モビリティ
CASE時代を見据えた技術対応品の開発、市場要求に迅速に対応していく予定
自動車業界の先進技術とサービスを表した造語
コネクテッド(自動車のIoT化)、オートノマス(自動運転)、シェアリング(共有)、エレクトリック(電動化)
AGCではモビリティ社会・自動運転への対応として、
車載用ガラスのディスプレイ化
ガラス一体型5Gアンテナの導入によるガラスに通信機能を付加
センシングデバイスに応じた窓設計とシームレスな窓ガラスを設計
に取り組んでいる。
素材だけでなく解決策まで提供している点がポイントです
エレクトロニクス
半導体関連部材とオプトエレクトロニクス用部材を軸に持続的な成長を目指す
半導体関連はEUVマスクブランクスに強み
AGCは世界で唯一、硝材から研磨・成膜まで一貫生産できるメーカー
半導体チップ回路パターンの微細化により、EUV露光機が急速に普及
EUVブランクス需要も大きく伸びている
AGCではEUVブランクスの生産能力を2022年に従来の2倍に増強。2024年に更に2倍にする予定
CPMスラリーにも強み
顧客に合わせて原料砥粒からスラリーまで一貫生産可能
より複雑な半導体チップ製造になるにつれ、研磨工程が増加傾向
今後、次世代3Dパッケージプロセスへの移行により、CPMスラリーの需要が期待される
CMP = Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨のこと
半導体チップの表面の凹凸を、研磨粒子を使った物理的な加工と化学反応を組み合わせて高精度で研磨するCMP工程がある
CPMスラリーはCPM工程で使用する液体状の研磨材のこと
AGCではCPMスラリーの中で特にセリアスラリーを開発している
砥粒にセリア(酸化セリウム)の微細粒子を使っている。
オプトエレクトロニクス関係は赤外線カットフィルターに強み
スマートフォンのカメラ搭載数の増加とともに成長継続中
ガラス、光学薄膜の組み合わせ光学設計技術により、高精度の分光性能を実現し
カメラの高画質化に貢献する。
その他、AR/MRグラス、車載関連、3Dセンシングなど、
今後の成長が期待される新デバイスに対し多彩な光学部材を展開予定
ライフサイエンス
基盤となる合成医農薬・バイオ医薬品CDMO事業の強化・拡大をおこなう予定
バイオ医薬品CDMOの一貫として、遺伝子細胞治療(pDNA/mRNAやウイルスベクター細胞医薬)の事業を強化・拡大中
CDMO=Contract Development and Manufacturing Organization
製薬企業向けに医薬品受託製造、開発段階における治験薬製造及び製造条件の最適化など、
製造・開発面における包括的なサービスを提供する事業のこと
合成医農薬CDMO
精密有機合成技術を用いて、合成医農薬の原料から中間体、原薬まで一貫生産
プロセス開発、工業スケールで中間体、原薬の受託製造を行う
バイオ医薬品CDMO
「目的遺伝子」を顧客から入手し、AGCで「培養」「分離」「精製」プロセスを受託
バイオ医薬品となる「目的タンパク質(微生物由来、動物由来、両方)」を製造。
AGCでは国内3拠点、欧米に7拠点CDMO事業に対応する設備が整っています。
今後もグローバルな展開、設備増強、M&Aによる成長投資を継続するそうです。
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