この記事では信越化学工業が注力している研究活動についてまとめています。
基本情報
何をしている会社?
旭化成株式会社は大手化学メーカー。
国内化学メーカーとしては最大の時価総額および、営業利益を誇る。
塩化ビニル樹脂やシリコンウェハーなど多くの世界トップシェア製品を有する。
事業セグメントは「生活基盤材料」「電子材料」「機能材料」「加工・商事・技術サービス」の4つ
- 生活環境基盤材料事業
-
塩化ビニル樹脂、苛性ソーダ、メタノール、クロロメタン、ポバール
- 電子材料事業
-
半導体シリコン、希土類磁石(電磁産業用・一般用)、半導体用封止材、LED用パッケージ材料
フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品
- 機能材料事業
-
シリコーン、セルロース誘導体、金属珪素、合成フェロモン、
塩ビ・酢ビ共重合樹脂、液状フッ素エラストマー、ペリクル
- 加工・商事・技術サービス事業
-
樹脂加工製品、技術・プラント輸出・商品の輸出入、エンジニアリング
売上、業績、年収情報
- 売上高 2兆8088億円
- 営業利益 9982億円
- 経常利益率 35.5%
- 自己資本比率 81.8%
- 平均年収 876.7万円
- 平均年齢 42.2歳
- 平均勤続年数 20.3年
利益率の高さは国内メーカー首位。。。すごすぎる。。。
求める人材像
信越化学工業の企業理念は
信越化学グループは、「遵法に徹して公正に企業活動を行い、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出す」ことを企業規範として、世界中に素材をお届けしています。
https://www.shinetsu.co.jp/jp/company/greeting/
また、採用情報のページには求める人物像として
すべての職種で共通することは『自分自身でしっかり考えることができる人』です。その上で、技術系社員には技術者のベースとなる理系の基礎知識や科学的思考能力を求めます。これに柔軟な発想力や対人関係能力が加われば、あとは一人ひとりの意欲次第で素晴らしい人材に育っていただけると信じています。事務系社員には論理的思考力や対人関係能力を特に求めます。
https://www.shinetsu.co.jp/jp/recruit/recruitment/
と述べられています。
『主体性』『柔軟性』『コミュニケーション能力』がキーワード
研究・開発内容
有価証券報告書を参考に2022年度で進捗した研究・開発内容をまとめました。
生活環境基盤事業
塩化ビニル
塩ビ・高分子材料研究所で実施中も詳しい開発実績明記なし
塩ビ・高分子材料研究所は米国、欧米にも展開する塩化ビニル事業の中枢的な研究センターとしての役割を担っている。
電子材料事業
半導体シリコン
信越半導体(株)の2つの研究所で実施
シリコンウェハの生産技術向上、更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでいる
デバイスの更なる低消費電力、高速化に対応する薄膜SOIウェハおよびFZウェハなど将来有望視される次世代向け技術開発にも取り組む
化合物半導体
超高輝度4元系(AlInGaP)の赤色LED用エピタキシャルウェハおよびチップの製品化で高評価を得ている。
更なる高輝度化、高信頼性、多色化等の高機能を目指した新製品の開発を進めている
一般LED照明の色調改善にも注力している
電子産業用有機材料、5G関連材料
シリコーン電子材料技術研究所で研究が行われているも、詳しい実績明記なし。
産業用希土類磁石、レア・アース、一般用希土類磁石
磁石材料研究所で研究が行われているも、詳しい実績明記なし。
フォトレジスト
新機能材料技術研究所で開発中
半導体製造プロセスで使用されるKrF、ArFエキシマ用およびEUV用フォトレジストを開発中
デバイスの微細化に対応すために、EUVレジストや多層材料の性能改善が継続されており、5nm世代は既に量産化へ移行
現在は、3nm以細のEUV用プロセス材料を中心に開発を強化している
マスクブランクス
新機能材料技術研究所で開発中
マスクブランクスも半導体製造プロセスで使用される。
耐照射性に優れたArFハーフトンブランクスおよび7nmデザインルール用新構造ブランクスの主要顧客への認定が終了し、量産出荷を開始。現在は5nm以細向けのEUVブランクスの開発に注力。
合成石英
光ファイバー用プリフォームは精密機能材料研究所で開発中
世界トップレベルの品質を維持向上すべく、光通信分野での積極的な研究開発を進めている。
半導体用マスク基板、液晶用大型マスク基板は合成技術研究所で開発中もし詳しい実績明記なし。
機能材料事業
シリコーン
シリコーン電子材料技術研究所で海外も含めた総合的な機能を担い、一部、合成技術研究所で実施。
詳しい実績明記なし。
セルロース誘導体
合成技術研究所および、SEタイローズ社(ドイツ)で開発実施中も、詳しい実績明記なし。
加工・商事・技術サービス事業
信越ポリマー(株)にて塩化ビニル、シリコーンなどの加工技術の開発を行っている
今後の研究方針
信越化学工業では中期計画の公表がありません。
2018年5月22日の記事にて当時の社長である斉藤恭彦氏はインタビューで下記のように述べていました。
多くの会社でもそうだと思いますが、中期経営計画を作ることに相当な時間をかけていました。しかし、完成して発表した後は、ファイルに閉じてしまっておくだけ。なんのためにやっているのかなあと思っていたのですが、1990年に社長になった金川千尋(現会長)が、その仕事をなくしました。中期経営計画の公表をやめたのです。
何年までに何%売り上げを伸ばすとか、どの分野にいくら投資をするとか、細かく計画を立ててもその通りに進むことはまずありません。その度ごとに理由を説明して、数字を修正するのは、大変な労力を要します。また、計画を公表することで、競合他社に手の内を明かすことにもなります。「それなら、発表しない」というのが、当社の考え方です。
https://froggy.smbcnikko.co.jp/9658/
いくつもの世界シェアトップ製品を保有し、業績も常に良好の賜物なのでしょう。。。
中期計画の作成に時間を要するので技術開発や経営に力を注ぐのはかなり合理的に感じます。
2022年度も積極的に設備増強を行っていることから、下記分野への開発に注力している様子が伺えます。
- 塩化ビニル樹脂の一貫製造設備
- 半導体シリコンウェハの高品質化に対応する設備
- フォトレジスト製造設備
- シリコーン製造設備
まとめ
- 国内化学メーカーとして最大の時価総額と営業利益を誇る。42歳で855万が平均的。経営状況は超良好。
- 事業領域は4つ。「生活環境基盤材」「電子材料」「機能材料」「加工・商事・技術サービス」
- 中期計画はなし。設備増強は活発に実施。
- シリコンウエハ、化合物半導体、フォトレジスト、マスクブランク、合成石英の開発に特に注力している印象
コメント