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【2023年度最新版】住友化学の注力研究テーマは何!?

この記事では住友化学が取り組んでいる研究活動についてまとめています。

目次

基本情報

何をしている会社?

住友化学株式会社は住友グループの大手総合化学メーカー。

国内化学メーカーの売上規模としては、三菱ケミカルホールディングスに次いで第2位

事業領域は5事業分野にわたり、農業化学部門・農業事業を有している点が、特筆すべき点です。

  • エッセンシャルケミカルズ(石油化学)
  • エネルギー・機能材料
  • 情報電子化学
  • 健康・農業関連事業
  • 医薬品

売上、業績、年収情報

  • 売上高 2兆7653億円
  • 営業利益 928億円
  • 営業利益率 3.36%
  • 自己資本比率 21.3%
  • 平均年収 883.6万円
  • 平均年齢 41.2歳
  • 平均勤続年数 15.4年

年収は他と比べて高い傾向。
2022年度はコロナ、世界情勢不安のため、利益率が低下。自己資本比率が30 %を下回っているのが少々不安。。。

求める人材像

2023年度の採用ページには

1.

「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社の持続的な成長を実現する」という理念に共感いただける方

2.

様々な人と関わりながら組織・チームで仕事に取り組み皆で良いものを創っていくこと、そしてそのなかで自らを高め自身の役割と責任を果たすことに喜びと楽しさを感じられる方

https://www.saiyo-sc.com/information/recruit_info.html

『自己成長欲』・『協調性』・『主体性』がキーワードになりそうです

事業領域

住友化学の事業は5つの領域に分けられます。

エッセンシャルケミカルズ(旧 石油化学)

合成樹脂や、合成繊維原料、各種工業用品など、さまざまな産業を支える化学製品を提供

エネルギー・機能材料

環境負荷の低減や省資源・省エネルギーに貢献する機能化学品を提供

省エネルギー製品に使用されるアルミナ・アルミニウム

高性能な高分子添加剤・ゴム用薬品

電子部品・次世代自動車に用いられるスーパーエンジニアリングプラスチックス

リチウムイオン二次電池用部材

情報電子化学

身近な電子デバイスに用いられる幅広い製品を供給

また、ニーズに対応した高機能・高付加価値製品を迅速に提供し、次世代技術・材料開発にも注力

液晶や有機ELに用いられる光学機能性フィルム・タッチセンサーパネル・カラーレジスト・高分子有機EL材料

半導体製造工程で用いられるフォトレジスト・高純度薬品

通信端末に搭載するアンテナスイッチなどに使用される化合物半導体材料。

健康・農業関連事業

農薬や肥料、飼料添加物、家庭用殺虫材、感染症対策製品、医薬品原料・中間体などの製造・販売

医薬品

精神神経領域、がん領域の新薬の創出、再生・細胞医薬分野。診断検査薬、治療技術

農薬や医薬品開発まで行っている守備範囲の広さ!すごい、、、

研究・開発内容

有価証券報告書を参考に2022年度で進捗した研究・開発内容をまとめました。

エッセンシャルケミカルズ(旧 石油化学)

プロセスライセンス関連

プロピオンオキサイド単産法
MMAモノマー用触媒

触媒の高性能化、長寿命化を目指した改良、塩酸酸化への対応

ポリオレフィン用触媒

安全性・安全生産性の向上を目標にした改良

資源循環技術

包装用ポリオレフィン材料の改良

剛性と耐熱性を単一樹脂で両立するモノマテリアル包材の開発推進。

高性能ポリエチレン「スミクル®」

容器包装材に使用されているナイロンやPETの代替材として期待。ポリエチレンのみの容器包装をつくることが可能に

エネルギー・機能材料

リチウムイオン二次電池用部材

断熱セパレーター

性能向上とコスト削減の両立

正極材

製造プロセスを改良を組み込んだ量産実証設備を2023年に稼働予定

「ダイレクトリサイクル」技術開発

廃電池から分離回収した正極材を金属に戻さず、そのまま再生するリサイクル技術の開発

スーパーエンプラ・機能性樹脂

ポリエーテルサルフォン(PSE)

電動車部材、半導体工程部材、高機能性膜向けの開発・拡販中

液晶ポリマー(LCP)

①高流動性・高剛性を生かした電動車用エレクトロニクス部材

②高周波特性に優れたグレードによる高速通信用コネクタ用途

③フィルム用途のグレード開発

次世代移動通信(5G)用途での採用が進み、LCPは旺盛な需要あり

無機材料

超微細高純度アルミナ

半導体製造装置用セラミックス等への用途利用。

従来よりも強度・耐薬品性・審美性に優れるグレードの開発

情報電子化学

ディスプレイ材料

液晶塗布型位相差フィルム

OLED用偏向フィルムの適応範囲を拡大

液晶塗布型偏光板

耐久性・折り曲げ特性に優れ、薄型化へ寄与期待。市場投入。

高分子有機EL材料

中型パネル:国内外メーカーにて、モニター・ディスプレイ用途の認定・採用が拡大

大型パネル:大型基板を用いた印刷法による量産化について、主要パネルメーカーとの共同開発が実証ステージへ

半導体材料

レジスト材のラインナップ拡充

微細加工分野で主流である液浸ArFレジストのラインナップ拡充

次世代製品であるEUVレジスト、多層配線用厚膜レジストの開発・市場投入

化合物半導体材料

高速・大容量通信・省エネ・自動運転等の技術を支える材料

高周波デバイス用の各種エピタキシャルウェハを設計・開発中

半導体分野は集積化向上が命題!

センシングデバイス

ディスプレイ用タッチセンサー

既に事業確立済み。さらなる高機能化・複合化を推進中

薄膜形成を中心とした要素技術を活用し、新規センサーの開発遂行中

イメージセンサー用途

モバイル端末等への用途を想定

ディスプレイ(光学)・半導体領域で培った技術・ノウハウを活用し、高解像度・高感度化に貢献する機能材料を開発中

IoTの主要構成ツールとしてさらなる拡大が見込まれる領域!

健康・農業関連事業

世界の課題解決(食料増産、健康・衛生環境の改善)をとおしてサステナブルな社会実現に貢献が目標

IoTやバイオテクノロジー技術を駆使して、新製品・アプリケーション・競争力のある製造プロセスの開発中

目標としては、コア事業の強化+周辺事業への展開&川下化を推進

2021年度の研究費は278億円

国内農業関連

殺虫剤・殺菌剤

水稲用新規殺虫剤 オキサゾスルフィル含有商品を上市

新規殺菌剤 インディフィリン®を含め、新規有効成分を含んだ新用途、新製品の開発

コメ事業

①生産者、生産地のニーズに合う新品種の開発継続

②画像診断技術を活用した病害中診断画像アプリの開発→農業生産者への総合的な解決策提供に向けて研究開発推進中

海外農業関連

殺虫剤・殺菌剤

新規殺菌剤 インディフィリン®を米国、カナダに加えてパラグアイで上市。ブラジル市場への上市準備中。

欧州市場を中心とした展開が期待される新規殺菌剤 メチルテトラプロール(Pavecto®)の開発

共同プロジェクト

新規PPO除草剤 ラピディシルTMを米国、カナダ、ブラジル、アルゼンチンで登録申請完了(バイエル社と共同)

種子処理技術の開発・商業化プロジェクト 継続(コデルバ・アグリサイエンス社と共同)

バイオラショナル事業

新規植生長調整剤 アクシードTMの米国上市

生活環境事業

殺虫剤

新規ボタニカル殺虫剤の登録申請。ボタニカル成分の開発・登録に向けデータ取得中

ボタニカル(天然由来成分)製品は市場ニーズが強い!

業務用殺虫剤分野ではアメリカ市場で主要対象害虫のアリに対する防除用で上市した新製品の拡販、新製品開発進行中

防除剤

蚊に対する防除剤の開発を進めている(長期残効性蚊帳、蚊の幼虫防除剤の新製品開発・登録)

総合的な防除を可能にする製品拡充に取り組み、感染症拡大防止に向けた抗ウイルス製品の開発を継続

アニマルニュートリション事業

機能性飼料添加物

飼料効率の改善と安全・安心な畜産物生産に貢献できる新製品の開発に取り組む

競争力強化のため、メチオニンの合理化製法開発、プロセス改善

機能性飼料添加物分野の製品ラインナップの拡充、

医薬化学品事業

有機合成プロセスの技術力を駆使した新薬の受託合成品目の拡充、およびジェネリック原薬の製法開発に取り組む

医薬品

精神神経領域、がん領域、および再生・細胞医薬分野が研究重点領域

感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスへの貢献を目指し、

社内外、産学連携で優れた医薬品の継続的な創製、新たなソリューションの提供、フロンティア事業の立ち上げを目指す

精神神経領域

  • ulotaront(開発コード:SEP-363856) 米国 フェーズ3試験、日本・中国でフェーズ2/3試験を推進
  • SEP-4199について、米国・日本で双極I型障害うつを対象としたフェーズ3試験を開始
  • 新たに2品目のフェーズ1試験を開始

がん領域

  • DSP-7888(一般名:アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)

  → 米国・日本でフェーズ3試験を実施も、

最終解析で主要評価項目を達成する可能性が低いと判断し、本試験を中止

  • 新たに1品目のフェーズ1試験を開始

再生・細胞医薬分野

加齢黄斑変性、パーキンソ病、網膜色素変性、脊髄損傷などを対象とした他家iPS細胞を用いた研究を継続。

  • リサイミック(開発コード:RVT-802)

  →米国にて小児先天性無胸腺症を適応症とした承認を2021年10月に取得

他家iPS細胞
  • 他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞

  →京都大学で実施されているパーキンソン病を対象にした医師主導地検の全7例の移植が完了

  • 他家iPS細胞由来網膜シート

  →神戸市立神戸アイセンター病院において、網膜色素変性全2例に対する臨床試験が実施

   移植から1年後も生着していることが確認

感染症領域

薬剤耐性菌感染症治療薬、マラリアワクチン、ユニバーサルインフルエンザワクチン(ほとんどの型のインフルエンザウイルスに対し効力を持つわワクチン)の創薬研究を遂行

  • カルバペネム耐性菌感染症治療薬(開発コード:KSP-1007)

  →米国でフェーズ1試験を開始(北里研究所との共同研究)

  • 愛媛大学等とマラリア伝搬阻止ワクチン、マラリア感染阻止ワクチンの共同研究を推進

今後の研究方針

今後の強化領域は「環境」「食料」「ヘルスケア」「ICT」の4点

1.環境

強化領域は「エネルギーマネジメント」「GHG排出削減」「資源循環」

次世代蓄電池材料
機能性膜・排水処理システム
ケミカルリサイクル・CO2有効利用プロセス

2.食料

強化領域は「持続可能な食料生産」「フードロス削減」

機能性飼料・バイオラショナル
鮮度保持・収穫ロス低減剤

3.ヘルスケア

強化領域は「先端医療」「予防」「早期診断・健康診断」

再生細胞医薬・細胞医薬用材料
衛生素材・体調モニタリング
診断薬・画像診断用材料

ICT

強化領域は「エッジ機器・情報端末部材」「通信・半導体関連部材」

ディスプレイ材料・センサー材料

・有機ELディスプレイ向け材料、次世代ディスプレイ向け材料の開発・上市

・高感度イメージセンサーに対応した材料等の開発

通信・半導体材料、放熱・熱制御材料

・化合物半導体向けに次世代パワーデバイス材料の事業化

・次世代高速通信に対応した材料等の開発

まとめ

  • 国内第2位の大手総合化学メーカー。40歳で850万が平均的。経営状況は良好。
  • 事業領域は5つ。「石油化学」「機能性材料」「情報電子材」「健康・農薬」「医薬」
  • 重点研究領域は4つ。「環境」「食料」「ヘルスケア」「情報」
  • 求める人材のキーワードは『自己成長欲』・『協調性』・『主体性』
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この記事を書いた人

大手化学メーカー勤務(研究職)/ 32歳
2022年8月より開始した『ケミ活』の運営者です。

化学業界に就職・転職を考えている人に向けた就活ヒントを、化学企業で働く人の副業ヒントを発信していく予定です。

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